あの方にさんざ影響された結果
模倣ではないと主張しておきます。
「あら素敵な白兎」
金の豊かな長髪を弾ませて、アリスはその兎を追った。
穴に落ちた。
流された。
見失った。
森を歩いた。
「おやアリス、どうしたんだい」
「あらいも虫さんこんにちは」
アリスは言って、背中に持っていた巨大な鎌で芋虫の太った首を切り取った。紫色の血がアリスのかわいらしいドレスを彩った。
「おやアリス、女王様に会うのかい」
「あらチェシャネコさんこんにちは」
アリスは言って、背中に持っていた巨大な出刃包丁でチェシャネコの胴体を切り離した。しましまの血がアリスの金髪を彩った。
「おやアリス、ちょっと手伝ってくれないか」
「あらカードの兵隊さんたちこんにちは」
アリスは言って、背中に持っていたチェーンソーで三人まとめてその体を刻んだ。細かいトランプ模様の血がアリスの赤い靴を彩った。
「おやアリス、死刑」
「あら女王様こんにちは」
アリスは言って、背中に持っていた五寸釘で女王の眼の玉をえぐりだした。黒と赤の血がアリスのほっそりとした手首にかかった。
「おやアリス」
「こんにちは」
アリスは言って、背中に持っていた鉈で
「おやアリス」
「こんにちは」
アリスは言って、背中に持っていたこん棒で
「おやアリス」
「こんにちは」
アリスは言って、背中に持っていたカッターで
「おやアリス」
「こんにちは」
アリスは言って、背中に持っていた鋏で
「おや」
「こんに」
「おや」
「こんに」
「おや」
「こん」
「お」
「こん」
「お」
「こ」
「お」
「こ」
「お、こ、お、こ、お、こ、お、こ、お、こ、お、こ、おこ、おここここここここおこおこおこおこおこおこおこおこおこおこおこおこおこおこおこおこおこおこおこおこここここここここおこ」
「あら大変」
アリスは呟いた。
「なくなっちゃったわ」
アリスは黙ったままカラフルな血で満たされた庭を見回していたが、やがて岩で自分の頭を殴りつけてしんだ。アリスの金と水色と赤と赤と赤の血がアリスの全身を彩った。