3センチの足
2008/09/24 00:30:17
勢いで書きました。狂気先生に激しく影響されました。後悔はしていない。
「なんて君は馬鹿なんだろうね」
飽きれたようにかぶりを振られた。どっちが。一体何様のつもりだ。
「低俗で下劣で浅はかで、全くもってどうしようもない」
言いながら、笑いを堪えるかのように口をひくひくと引きつらせる。
反論しようにも声は出ない。掠れた空気が微かに気管から漏れていった。
「君のような汚れた存在は僕が制裁を下さなければ」
潰された喉から絶え間なく血が流れる。奴はようやくそれに気がつき、アイロンで傷口を焼いて止血した。もう熱さも痛さも感じない。このまま気を失えたら、死ねるだろうか。
気が遠くなりかけているのに気付かれてしまったようだ。何やら薬を打たれた。もう腕はなくなってしまったから、ひっくり返されて尻に打たれた。
徐々に激痛が返ってくる。どうやら強心剤を打たれたらしい。
足をばたつかせた。無論そんなものはとうになくなったので、結局は僅かに残った太股を無様に揺らすだけで終わった。
「はは、痛いだろう。もう終わりにしてあげるよ」
言いながら、奴は部屋の奥から何か大きなものを引きずりだしてきた。
嫌だ、そんな。血塗れの顔が凍り付いたのがわかった。
「そんな顔するなって。屑肉は屑肉らしくミンチにしてやるよ」
奴は最早達磨と化した俺の身体を巨大な金属製のボウルに投げ込んだ。
それは、生クリームを泡立てるときに使う泡立て機がそのまま大きくなったものだった。
いや、少し違う。ボウルに投げ込まれたことで分かったのは、掻き混ぜるために付いているはずの二つの先端には、何かを切り刻むことを目的とした鋭利な刃が生えていた。
必死で這い上がろうとするが、ボウルはぐらぐらと揺れるばかり。爪とボウルが接し嫌な音をたてた。
「……!……!!」
「抗議の声すら僕に届かないなんて、可哀相だね」
明らかに嘲りを含んだ微笑を口元に湛えて、奴は巨大なスイッチに手を掛けた。
「お疲れ様でした」
場違いなほど明るい声で言って、一気にスイッチを入れる。
「……!!」
ものすごい振動だ。壁に立てた爪が揺れる。
スイッチと同時に固定されたのか、ボウルが動くことはない。が、その振動は抗いがたいほど強く、確実に俺を凶器の元へ誘う。
「きゃはははは抵抗してるよぉきゃっきゃっ」
子供のように無邪気な声で笑っているが、今の俺に上を見る余裕はない。いつの間に登ったのだろう。
やがて凶器が僅かに残った太股に触れた。
「………………!!」
俺の喉から漏れる息の量が一気に増える。その滑稽な音は、幸いなことに激しい機械音で誤魔化されてくれた。
尤も、そんなことよりもっと大変なのは、俺の足だ。数センチ削り取られ、肉片がボウルの金属の壁にこびりつく。ああ、少しだけでも残っていたのに。血が吹き出る。俺の足俺の足俺の足いいい。ヒステリックな笑い声が、なぜだかそれだけクリアになって耳を揺らす。
なんて考えている間にああまた3センチまた5センチ足がない腰がなくなっていく臓器がはみ出し血と共に数センチ角にされ散って行ってしまう笑い声はまだ響いている身体が段々二つの回転する先端の間に引き込まれる痛い痛い痛いよお腹がなくなっている血が吹き出る笑い声があああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ
死んだ。
「なんて君は馬鹿なんだろうね」
飽きれたようにかぶりを振られた。どっちが。一体何様のつもりだ。
「低俗で下劣で浅はかで、全くもってどうしようもない」
言いながら、笑いを堪えるかのように口をひくひくと引きつらせる。
反論しようにも声は出ない。掠れた空気が微かに気管から漏れていった。
「君のような汚れた存在は僕が制裁を下さなければ」
潰された喉から絶え間なく血が流れる。奴はようやくそれに気がつき、アイロンで傷口を焼いて止血した。もう熱さも痛さも感じない。このまま気を失えたら、死ねるだろうか。
気が遠くなりかけているのに気付かれてしまったようだ。何やら薬を打たれた。もう腕はなくなってしまったから、ひっくり返されて尻に打たれた。
徐々に激痛が返ってくる。どうやら強心剤を打たれたらしい。
足をばたつかせた。無論そんなものはとうになくなったので、結局は僅かに残った太股を無様に揺らすだけで終わった。
「はは、痛いだろう。もう終わりにしてあげるよ」
言いながら、奴は部屋の奥から何か大きなものを引きずりだしてきた。
嫌だ、そんな。血塗れの顔が凍り付いたのがわかった。
「そんな顔するなって。屑肉は屑肉らしくミンチにしてやるよ」
奴は最早達磨と化した俺の身体を巨大な金属製のボウルに投げ込んだ。
それは、生クリームを泡立てるときに使う泡立て機がそのまま大きくなったものだった。
いや、少し違う。ボウルに投げ込まれたことで分かったのは、掻き混ぜるために付いているはずの二つの先端には、何かを切り刻むことを目的とした鋭利な刃が生えていた。
必死で這い上がろうとするが、ボウルはぐらぐらと揺れるばかり。爪とボウルが接し嫌な音をたてた。
「……!……!!」
「抗議の声すら僕に届かないなんて、可哀相だね」
明らかに嘲りを含んだ微笑を口元に湛えて、奴は巨大なスイッチに手を掛けた。
「お疲れ様でした」
場違いなほど明るい声で言って、一気にスイッチを入れる。
「……!!」
ものすごい振動だ。壁に立てた爪が揺れる。
スイッチと同時に固定されたのか、ボウルが動くことはない。が、その振動は抗いがたいほど強く、確実に俺を凶器の元へ誘う。
「きゃはははは抵抗してるよぉきゃっきゃっ」
子供のように無邪気な声で笑っているが、今の俺に上を見る余裕はない。いつの間に登ったのだろう。
やがて凶器が僅かに残った太股に触れた。
「………………!!」
俺の喉から漏れる息の量が一気に増える。その滑稽な音は、幸いなことに激しい機械音で誤魔化されてくれた。
尤も、そんなことよりもっと大変なのは、俺の足だ。数センチ削り取られ、肉片がボウルの金属の壁にこびりつく。ああ、少しだけでも残っていたのに。血が吹き出る。俺の足俺の足俺の足いいい。ヒステリックな笑い声が、なぜだかそれだけクリアになって耳を揺らす。
なんて考えている間にああまた3センチまた5センチ足がない腰がなくなっていく臓器がはみ出し血と共に数センチ角にされ散って行ってしまう笑い声はまだ響いている身体が段々二つの回転する先端の間に引き込まれる痛い痛い痛いよお腹がなくなっている血が吹き出る笑い声があああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ
死んだ。
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